「労働基準法等の一部を改正する法律案」が可決・成立し、賃金請求権の消滅時効期間が延長されることとなりました。
今までは、賃金請求権の消滅時効の期間は2年でしたが、今回の改正により5年に延長されています。
ただし、いきなり2年から5年に延長するとなると紛争リスクや実務への影響が大きいため、経過措置として当分の間は3年とすることとされています。
また、賃金台帳等の書類保存義務、割増賃金未払い等に係る付加金の請求期間についても、賃金請求権の消滅時効期間と同様に5年に延長されていますが、こちらも当分の間は3年とすることとされています。
~令和2年3月31日 | 令和2年4月1日~ | |
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賃金請求権の消滅時効期間 | 2年 | 5年(当分の間3年) |
付加金の請求期間 | 2年 | 5年(当分の間3年) |
退職手当請求権の消滅時効期間 | 5年 | 5年 |
賃金台帳等の書類保存義務 | 3年 | 5年(当分の間3年) |
今回の改正により未払い残業代の請求リスクがこれまで以上に高くなりました。また、現行では経過措置として3年とされていますが、原則は5年です。将来的には5年になると考えられますので、このリスクはさらに高まります。
新たな消滅時効期間が適用されるのは、令和2年4月1日以降に賃金支払日が到来する賃金請求権からになります。
そのため、すぐに3年分の未払い残業代が請求されるということはありませんが、今回の改正を機に、今一度、労務管理が適切になされているか、未払い残業代が発生していないかどうか等、確認してみる必要がありそうです。
参考:労働基準法の一部を改正する法律案の概要(厚生労働省)