64歳以上の雇用保険料免除の廃止

Q.当社では、多くの高齢社員を雇用しています。令和2年4月から64歳以上の社員についても雇用保険料が徴収されると聞きました。詳細を教えてください。

 

A.
平成29年1月1日より雇用保険被保険者の適用範囲が拡大され、現在は65歳以上の労働者についても、雇用保険の適用の対象者となっています。

平成29年以前より継続して雇用していた65歳の社員がいた場合には、平成29年1月の時点で、また、平成29年1月以降に新たに雇用した65歳以上の社員がいる場合には雇用した時点から、雇用保険の被保険者として資格取得の手続きをしているかと思います。
(ただし、1週間の所定労働時間が20時間未満である者または同一の事業主の適用事業に継続して31日以上雇用されることが見込まれない者は除く。)

本来であれば、被保険者には雇用保険料がかかりますが、64歳以上の被保険者については、平成31年度分まで保険料が免除されています。

この保険料の免除は、雇用保険の適用範囲の拡大に伴い、65歳以上の労働者を多く雇用している、特に中小企業に配慮した激変緩和措置として行われてきました。

しかし、令和2年4月以降、全ての企業において、この免除措置が廃止され、64歳未満の被保険者と同様に64歳以上の被保険者につきましても、雇用保険料(事業主・本人)の負担が生じます。

実務上、給与計算では、令和2年の4月に締日がある給与から、64歳以上の被保険者について、新たに雇用保険料の徴収が必要となります。

具体的には、
末締め翌月10日払いの会社 → 5月10日支給の給与から
15日締め当月25日払いの会社 → 4月25日支給の給与から
雇用保険料の徴収を行うことになります。

また、適用範囲の拡大に伴い、平成29年1月の時点で取得手続きを取らなければいけなかったにもかかわらず、未だ取得手続きを行っていない等、雇用保険の資格取得漏れが発生している場合があります。その場合には、遡及して加入手続を行う必要がありますので、個別・具体的な手続きにつきましては、所轄のハローワークまでお問い合わせください。

高齢者の社員を多く雇用している企業では、令和2年度以降の雇用保険料の増大が見込まれますので、資格取得漏れ等と併せまして、今一度確認することをお勧めいたします。

 

参考:雇用保険の適用拡大等について(厚生労働省)

過去の記事:雇用保険の適用対象の拡大

2019年11月21日