Q.インフルエンザに罹患した社員が休む場合、会社は賃金を支払わなければならないのでしょうか。
A.基本的に、賃金を支払う必要はありませんが、会社の判断によりインフルエンザに罹患した社員の就業を拒否する場合には、休業手当(平均賃金の6割以上)の支給が必要となります。
インフルエンザに罹患した場合、基本的には社員が自主的に欠勤を申し出るかと思います。その場合には、通常の病欠と同様に欠勤控除を行うことが出来ますので、賃金の支払いは必要ありません。
また、医師が就労不能と判断した場合や、高熱等で体調不良が著しく、労務の提供が完全に行えない場合には、賃金の支払いは不要と考えられます。
季節性インフルエンザは、法律によって就業禁止が規定されている疾患ではありません。
本件に関連する法律としては、安全衛生法第68条や感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第18条等、伝染病・感染症に罹った労働者の就業を禁止・制限する規定がありますが、季節性インフルエンザに関しては、就業禁止となる伝染病・感染症に含まれておりません。
ですので、インフルエンザに罹った社員を会社側から就業禁止にすることは、法律上、本来休ませる必要のない者を会社の判断で休ませるという解釈になります。会社の判断により社員を休ませることは、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当たりますので、休業手当(平均賃金の6割以上)を支払う必要があります。(労働基準法第26条)
つまり、会社の判断により医師が就労不能と判断した日を超えて休ませる場合や、職場でのインフルエンザの蔓延防止のために体調回復後も休ませる場合には、休業手当を支払う必要があります。
なお、インフルエンザによって欠勤した日に社員からの申出により有給を利用することは問題ありませんが、会社側から一方的に欠勤日に有給をあてることは出来ませんのでご注意ください。