副業・兼業

Q.弊社では自社の業務に専念してもらいたいとの考えから就業規則にて副業(兼業)を禁止する規定を設けております。この度、週末に数時間程度、コンビニでアルバイトをしている従業員がいることが発覚しました。副業(兼業)を禁止し、懲戒処分を行うことは出来るのでしょうか。

A. 昨今の労務管理では、従業員が副業(兼業)を行うことについて、会社が一方的に禁止することはできないという考え方が主流であり、懲戒処分を行うにしても、その状況をしっかりと把握し、処分内容を十分に検討する必要があります。

 

⑴副業(兼業)禁止について
就業時間以外の時間をどのように利用するかは従業員の自由であり、会社が就業時間以外の時間についてまで、従業員の行動をしばれるものではありません。ですので、就業時間外に副業(兼業)を行ったとしても、一律に禁止できるものではありません。
因みに厚生労働省の「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会報告書」において、以下のようなやむを得ない事由がある場合を除き、副業(兼業)を禁止することは無効とすることが妥当であると記載されています。
①副業(兼業)が不正な競業に当たる場合
②営業秘密の不正な使用・開示を伴う場合
③労働者の働きすぎによって人の生命または健康を害するおそれがある場合
④副業(兼業)の様態が使用者の社会的信用を傷つける場合 等

今回のケースでは、上記の①~④のいずれかに該当しているか否か判然としませんので、直ちに副業(兼業)を禁止することは出来ないものと考えられます。まずは、今回のケースが①~④の事由に該当するのか否か慎重に検討してみる必要がありそうです。

⑵懲戒処分について
従業員が副業(兼業)することによって、過重労働となり、業務中に居眠りをしたり、遅刻を繰り返す等勤務不良の状態が続き、その結果、労働契約に定められた労務の提供が不完全と判断される場合には、服務規律に反する事となり、一般的懲戒処分の対象となるものと考えられます。


先日、厚生労働省は、柔軟な働き方に関する検討会の中で副業・兼業の推進に関するガイドライン骨子(案)を提示しました。
従業員にとっては、副業・兼業を行うことによるメリットはあると思いますが、一方で会社にとっては、従業員の健康管理・労働時間管理が困難になる、長時間労働につながる等のデメリットもあります。

また、社会保険の適用、保険料負担の問題も生じるケースがあります。

このように、副業・兼業という働き方には様々な問題がありますので、それを禁止するにしても、新たに導入する(認める)にしても、予め十分に検討し、準備をしておくが事が労務管理の上で大切です。

2017年12月04日