21世紀に入り先進各国では少子高齢化が進み、大きな社会問題になっています。これは私たちの国、日本においても例外ではありません。この少子高齢化は人口減少を伴い、このことは日本の政治、社会保障政策、経済、産業、企業活動、雇用、教育、消費など、国民生活に様々なマイナスの影響を及ぼすことになります。このマイナスの影響を企業経営の観点から具体的に考えてみますと、
1. 医療・年金など社会保険料の負担の増加により、経営側では固定費用の増加、労働者側では可処分所得の 減少をもたらし、労働意欲の低下が懸念されます。
2. 労働力人口の減少は、直接生産性の低下をもたらし、また人材確保が困難になる一方で、個々の労働が加重になり、残業問題や職場の健康管理などの対策がより強く求められることになります。業種によっては労働力を国外から求める必要も生じることになります。
3. 日本的終身雇用や年功序列型賃金体系は、長期的な経済活力の低下により崩壊が一層すすみ、雇用は流動化し、否応なしに「労働」を「賃金」として適正に評価する職務給、職能給、成果主義などより一歩進んだ仕組みが求められるようになります。
4. 増加の一途をたどる退職金原資の確保、雇用の流動化にからむ年金のポータビリティーの問題は、企業としても賃金・年金制度を抜本的に改革する必要に迫られます。
5. 様々な制度改革や変更は「経営者」と「労働者」との軋轢を生み「個別的労働紛争」に進展しかねません。
私は、このような「少子高齢化と人口減少」という国家的課題について、ただ傍観するのではなく、人事・労務・年金・公的保険の専門家である社会保険労務士という立場で、能動的かつ積極的に微力ながら社会のお役に立ちたいという強い思いから、事務所を立ち上げるに至った次第であります。
一人の社会保険労務士が「企業」若しくは「経営者」又は「働く皆様」のためにお手伝いできることは限られているのかもしれません。けれども、「少子高齢化と人口減少」が企業活動や個人の生活にもたらすマイナスの影響を最小限度に留めるために知恵をしぼり、新たな解決方法を探究し創造することに誠心誠意尽くすことこそが私の使命であり、そうした小さな努力が例え僅かであっても社会に光明を与えるものであると固く信ずるものであります。
平成17年1月(開業にあたって)