転勤命令の拒否

Q.先日、転勤命令を出した社員に、家族の同意が得られないからと拒否されてしまいました。今後、どのような対応をとればよいでしょうか。


A.
就業規則に、配転・転勤をさせることがある旨の定めがあり、労働契約において就業場所、職種についての特約がない場合には、会社は転勤を命ずることができます。ですので、基本的には社員は転勤命令に従わなければなりません。

しかし、転勤命令が権利濫用と認められたり、信義則に反するものと解される場合には無効とされてしまいます。
具体的には、
・業務の必要性がない
・人選に合理性がない
・社員の個人的な家庭の事情を十分に考慮しなかった
等が挙げられます。

社員が転勤を拒否するのには様々な理由があるかと思います。それが、正当な理由なのかどうか、配慮すべき理由なのかどうかを見極めることが大切になってきます。

今回の場合では、家族の同意が得られないからという理由で転勤を拒否されていますが、この理由だけをもって拒否することは出来ないと思われます。しかし、実情を掘り下げてみますと親の介護をしている等の理由が出てくるかもしれません。ですので、詳しく事情を聴くことはとても大切になってきます。

また、会社側としましては、他の社員で代替可能であるのか、転勤以外での解決方法はあるのか等の検討も十分に行う必要があります。

2017年08月21日